平成14年(2002年)
司法書士年金で確かな未来を。(1月号から3月号まで)
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司法書士年金で確かな未来を。(4月号から6月号まで)
司法書士年金から大切な情報をお知らせします。(7月号から9月号まで)
少子高齢社会だからこそ、司法書士年金(10月号から12月号まで)
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(2002年10月号から12月号まで掲載)
少子高齢社会だからこそ、司法書士年金

●日本の社会保障は逆風にさらされています。

 日本の社会に福利厚生や共済の十分な発想や準備がない1960年代、司法書士のための制度を作ろうと先人たちが研究を重ね、1972年4月、日司連福利厚生共済制度がスタートしました。しかし、その後四半世紀の社会経済状況の変化とともにこの制度は役割を終え、平成12年第58回日司連定時総会で制度廃止が決定、本年秋より清算が始まることとなりました。個々人にとっては小規模の共済制度でも、同志同職が支え合う制度の意義は極めて大きなものであったと思います。
 今後は、公的な相互扶助型社会保障と、個人の選択に基づく自助努力・自己責任型保障の両者を組み合わせ、将来を安心なものにすることが肝要となります。しかし現在、日本がかつて経験したことのない少子高齢社会の急速な進行によって、社会保障、とりわけ年金制度や健康保険制度が強い逆風にさらされています。健康保険には、迫る財政難によって再編の動きが出てきつつありますし、年金では、世代間較差の拡大に若い世代の不安が増加しています。現状に公的年金への不信を募らせる大きな要素があることは、2001年度の経済白書でも指摘されています。
 これらは、ますます進む「長寿化」と「少子化」にで、さらに悪化すると見られており、日本の社会全体がこの問題を先送りせず、一刻も早く手を打たなければならない状況に至っています。

●国民年金基金が、逆風の中の光明に。

 若い世代が年金制度への不信を募らせる大きな原因に、現在の年金受給者は十分な保障を受けているのに、自分たちが高齢者となったときには……という疑念があります。確かに、現在の60歳以上の世代は、生涯に相当の受益超過(負担した年金保険料より受給する年金額が多い)があり、50代は負担と受益がほぼ同じようであるが、40代以下は負担超過であるといわれ(2001年経済財政白書による)、不信感が募り、年金制度への関心がますます低下していくのも、当然と思われます。
 しかし現在の若い世代も、ほとんどの人はやがて高齢者となります。もしかすると、そのころの「老後」の方が、現在の高齢者よりずっと長くなっているかも知れません。果たして「長い長い老後」を、ある程度の安定を叶えながら生涯過ごせるのか、それを想像してみることは、今は老後の実感などない若い世代にとって、とても重要なことであると考えます。
 幸い私たちには、自助努力型の司法書士年金が存在します。老齢基礎年金の上乗せ年金として設けられた公的制度ですが、厚生年金のような相互扶助・世代間扶養方式を採らず、「加入員の自助努力・積立方式」として制度化されました。これは強制加入の厚生年金等と異なり、任意加入という制約ゆえのシステムでしたが、現在の逆風の中で、奇しくもこの「自助努力」が一つの光明となっています。幸いにも自助努力を続けている司法書士年金加入員の将来は、やがて社会が直面するであろうさらに困難な状況を、相当に回避することになると推測されます。
 皆様の「自助努力」で、自分の老後を防衛することにより、結果として司法書士年金を成長させ、さらに強く安定したシステムへと成長させていくことになります。廃止された日司連福利厚生共済制度の精神は、こうして次の世代に引き継がれていくものと信じます。

【代議員選挙に関するお知らせ】
司法書士国民年金基金の第4回代議員選挙が、本年12月2日から12月15日まで公示されます。
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(2002年7月号から9月号まで掲載)
司法書士年金から大切な情報をお知らせします。

●司法書士法人と公的年金

 司法書士法の改正により、いよいよ司法書士の法人化が実現しますが、法人化は皆さんの公的年金にも大きな関係があります。ここでお知らせする重要なポイントは、とても大切な情報ですので、参考にしていただきたいと思います。
◆司法書士法人には厚生年金への加入が強制適用されます。
 すべての法人には厚生年金保険・健康保険への加入が強制適用されるため、法人社員・従業員となった方は、従来の国民年金第1号被保険者から「第2号被保険者」となり、それらの方々の被扶養配偶者は、第3号被保険者となります。
 このため、現在国民年金基金の加入員となっている司法書士・補助者・配偶者などの従事者は、司法書士年金から脱退することとなります。
◆ これまで国民年金基金に積み立てた掛金は、将来支給されます。
 司法書士年金から脱退しても、これまでに支払った掛金が返戻されることはありませんが、掛金額・加入期間に応じて計算された年金が、原則として65歳から支給されます。
 この場合、国民年金基金の加入期間が15年以上の場合(司法書士年金の場合は、1991年の設立時に加入した方が2006年以降に脱退した場合)は、司法書士年金から支給されますが、15年未満の場合は国民年金基金連合会に支給事務等が移管されます。
◆ 国民年金基金への再加入は、その時点の年齢で新規の掛金額が決定します。
 法人化によって司法書士年金から脱退した方が、何らかの理由で国民年金第1号被保険者に戻り、司法書士年金に再加入される場合は、新規加入と同じ扱いとなり、その時点の年齢で新たな掛金額や加入条件が適用されます。この場合、将来受給する基金年金は、「脱退前の年金(前記)+再加入の年金(新規)」となります。
◆ 国民年金の未納・未加入の期間がある方には、チェックをお勧めします。
 厚生年金に移行しても、それまでの国民年金に未納・未加入の履歴が一定程度以上あって、加入期間の不足等で基礎年金の受給資格が得られない場合、厚生年金保険料を納めても年金が受給できなくなります。厚生年金期間が延長できる可能性のある社員に比べ、従業員の場合は対応策に限度があると考えられますので、お心当たりの方は事前に社会保険事務所で年金履歴をチェックされ、万一の場合は対応策を相談されることをお勧めします。

●厚生年金という鏡に映し出される国民年金基金の意義

 現在、厚生年金の保険料率は、標準報酬月額の17.35%を労使折半で負担しています。しかし、少子高齢社会は国の推定を上回るスピードで進行し、昨年度の出生率は1.33と過去最低を記録するなど、賦課方式=世代間扶養型の年金の将来は極めて多難となっています。このままでは現役世代の負担がますます大きくなるため、20%に保険料率を固定…年金支給の調整・圧縮、というようなプランが真剣に議論され始めています。
 このような厳しい環境の中でも、自助努力・積立型であるからこそ、国民年金基金制度の意義が年金界の内外から評価されているのです。厳しい金融市場の情勢から去る4月以降の利回りを引き下げざるを得ませんでしたが、社会全体の状況が必ず改善されていくことを願いつつ、さらに自助努力の重要性を訴え続けてまいりたいと思います。
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(2002年4月号から6月号まで掲載)
司法書士年金で確かな未来を。

●少子高齢社会の本格的な進展はこれから。

 少子高齢社会のイメージは「少子」と「高齢」の2つを同時に考えなければ、なかなか見えてきません。「少子」については、特殊出生合計率が1.36(2000年)から、2007年には1.31まで低下すると見込まれています。この原因は、晩婚化に加えて、子供がゼロ〜1人という若いカップルが増えていることによります。15歳未満の子供の数は、1975年ごろの2700万人から2000年国勢調査時の1850万人へと、25年間で850万人も減少してしまいました。晩婚化はやがて限界に達して出生率は上昇すると見られていますが、それでも21世紀半ばに1.39程度に戻る程度、と推計されています。
 2人の親から1.3人の子供しか生まれてこないとすれば、日本人は徐々に減っていくはずなのですが、人口増加は徐々に進んでいます。これはもう一方の要素、長寿化による「高齢」の問題があるからです。2000年には男77.64歳・女84.62歳であった平均寿命は、2050年には男80.95歳・女89.22歳に達し、65歳以上の老年人口は、現在の2200万人(人口の17.4%)から50年後には3586万人(35.7%)に増加すると推計されています。
      ※それぞれの数値は、国立社会保障・人口問題研究所の将来推計を参考にしました。

●「時間差」を読みとってください。

 これまでの日本の社会保障は、成長を続ける経済状況に支えられ、相互扶助という優れた理念のもとに実施されてきました。現在年金を受給している世代(65歳以上)は、おそらく日本の歴史の中でもっとも熟成した果実を得ている世代である、と言えるでしょう。
 今、経済の低迷が人々の暮らしの上に覆い被さっていますが、経済状況は短期的にしろ長期的にしろ現在進行形のもので、しかもあらゆる世代に影響を与えます。ですから、「先のことより今のことの方が大変」というのが率直な反応だと思います。ところが少子高齢社会の影響は「時間差」で、特に現在の若年世代が歳を重ねるにつれて、次第に重くのしかかってきます。今は見えていない現象が、20年後、30年後には必ず表面に現れてくるのです。
 20代の頃に50年先の自分の姿や社会をイメージするのは、かなり難しいことかも知れませんが、様々な経験を重ねた30、40の世代には、自分の「老後」が徐々にリアルなものとして想像できるようになってきます。老後を想定した将来設計のタイミングも、この世代がもっとも重要な時期です。もちろん、50代に達してからでも遅くはありませんが、条件がやや不利になることは否めません。

●あなたの未来設計はあなたご自身の手で。 

 国民年金基金制度も、進行する少子高齢社会の前では決して万能薬ではありませんが、自分の未来を自分自身で設計できるという仕組みが極めて効果的なものであることには、注目してください。2002年度の掛金改訂に伴いパンフレットも改訂しましたので、制度の仕組みや特長の詳細を、ぜひお読みいただきたいと思います。
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(2002年1月号から3月号まで掲載)
司法書士年金で確かな未来を。

●今こそ「自助努力」の意義を見つめるとき

 2001年末の新聞報道で、年金をめぐる二つの大きな話題がありました。その一つは、厚生年金に加入義務のある事業所のうち2割程度が非加入と見られ、加入者数はピーク時に比べ約130万人減少しており、厚生年金に空洞化の兆しが見え始めたという記事です。
 このような報道から最も気がかりとなるのは、年金制度全体に対する漠然とした不安がさらに広がってしまうことです。さまざまな機関が「年金は重要な制度」と繰り返し広報しても、このままでは疑心暗鬼に陥っていくばかりでしょう。
 ここで、ぜひ考えていただきたいのは、問題になっているのは、現役世代が高齢世代を扶養する「世代間扶養」の被用者年金制度が、不況によって大きな影響を蒙っているということです。繰り返しお伝えしてきた少子高齢化という大きな背景とは別次元の問題ですが、ただし、現実には複合して悪影響を及ぼすことは避けられないでしょう。ですから今こそ改めて、自助努力の意義と重要性を見直していただきたいと考えます。
 司法書士年金では、主に少子高齢社会への対策として、「世代間扶養は人類の崇高な理念だが、困難な諸状況に対処する『自助努力』の意義は大きい」と呼びかけてきました。この世代間扶養に頼らない制度は、結果として不況からも大きな影響を蒙らない、粘り腰を持っている制度であったと自負しています。

●想像とは落差が大きかった厚生年金「報酬比例部分」のデータ

 もう一つの報道は国民年金第3号被保険者(サラリーマンの配偶者の専業主婦等)に関する記事で、これも重要な問題なのですが、とりあえず視点を変えて考えてみます。記事から意外なデータを読み取った方もおられるでしょう。それは女性の厚生年金加入期間と年金額の関係で、「就労期間が20年未満の人の平均=6年5ヶ月=報酬比例部分年金月額1万円に相当。就労期間が20年以上の人の平均=23年9ヶ月=報酬比例部分年金月額3.6万円に相当」という数字です。多くの方から「自分は厚生年金の加入期間があるから…」という声をお聞きしていますが、この数字はおそらく、ほとんどの方が想像されているご自身の年金額とは、かなり大きな落差があるのではないでしょうか。記事のデータから、「上乗せ部分」としての国民年金基金の重要性を再認識していただけたら幸いです。

●2002年4月から掛金額改訂の予定

 少子高齢社会には対処できても、金融市場の世界的不調の影響は避けることができません。このたびは、5年ごとに行われる財政再計算を待たずに、来る4月から掛金の引き上げが実施されることとなりました。現時点ですでに加入を検討されている方、お迷いの方は、金額的負担の少ない3月までの加入を強くお勧めします。配偶者・従事者の方も、掛金と受給のバランスが有利な若年のうちに加入されることを、ぜひ検討してください。
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