国民年金基金は未来設計の必須アイテム

少子高齢社会の影響は「時間差」でもたらされる
 多くの人々が飛躍と充実を夢見た21世紀も、内外に様々な重い問題を抱えた幕開けとなり、社会のあちこちに暗い影を落としているようです。しかし、そのような状況の中でも、いろいろな制度やシステムが改められ、歩みを続けています。司法書士制度の前進も、未来に希望の光を投げかけています。現在は社会の背景に横たわる経済の厳しい状況も、人々の叡智と努力で、やがて必ず好転していくことでしょう。
 ただ、経済状況が改善されたとしても、私たちの国の「少子高齢社会」という重い課題が、さらに加速しながら進行していることは、私たちは真正面から受け止めなくてはなりません。当面の厳しい状況の中で、出生率は年々低下し続け、仮に今それが底を打ったとしても、これから当分の間は若年層の少ない社会が続きます。その解決には、経済状況の改善よりはるかに時間のかかる道のりであり、現在の社会の枢要な部分を担う世代が高齢化するころ、厳しい社会保障の状況が待ちうけていることは、否定することができません。
 これまでの日本の社会保障は、相互扶助という優れた理念のもとに実施されてきました。それは、穏やかであっても活発であっても、成長を続ける社会だったからです。そのため、既に年金を受給している世代は、おそらく日本の歴史の中でもっとも熟成した果実を得ている世代である、と言えるでしょう。
 1990年代に成長が止まり、下降を始めたばかりでなく、それ以前から始まっていた少子化に拍車がかかったことが、優れた理念だけでは維持できない状況を生み出しました。高齢者や障害者の福祉制度、年金、健康保険制度などが相次いで課題とされてきたのは、そのためです。経済状況はあらゆる世代が同時に影響を蒙りますが、少子高齢化の影響は「時間差」でそれぞれの世代に、形を変えてのしかかってきます。今は自覚できなくても、相互扶助の恩恵を十分には受けられない世代が生じるのは時間の問題です。
あなたの未来設計はあなたご自身の手で
 進行する少子高齢社会の下では、「国民年金基金制度」も決して万能薬ではありませんが、制度の特徴がこの困難な状況に極めて効果的に作用するものであることには、ぜひ注目していただきたいと思います。
 制度の誕生の目的は、「自営の人たち…国民年金第1号被保険者…にも、サラリーマンと同じような手厚い年金を実現する」というものでした。しかし現在、若年勤労者の減少、産業構造の変化、経済の状況等の原因から、サラリーマン等の被用者年金制度が試練の場に立たされています。加入者が自己責任を負う確定拠出型年金の導入なども、その現れとみることができます。
 これに比べて、国民年金基金は「確定給付」という、老後=未来を設計するうえでとても大切な特色を持っています。任意で加入し、将来の受給額を設定して掛金を決定する国民年金基金は、相互扶助型や確定拠出型と違って、未来の不確定要素が極力排除されます。そのためにはもちろん、加入、掛金の積み立て、という「自助努力」が必要ですから、最初から十分な受給額を想定して設計すれば、当面の自助努力の大きさ=掛金の負担に躊躇してしまい、加入を先延ばしにしてしまうこともあり得ます。
 確定給付型年金は加入時年齢が若ければ若いほど有利です。2口目以降の増□・減口は随時行える極めて自由度の高い制度ですから、まず「基本の1口目に加入する」という早期の決断が重要です。あなたの未来はあなたご自身の手で設計されることを、そしてそこに「司法書士年金」という必須アイテムを上手に活用されることをお勧めします。

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