平成20年

2007年
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「個人でできる」自助努力。(1月号から3月号まで)
2009年
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次の世代にどんな地球を引き継ぎますか。(4月号から6月号まで)
自助努力か、自衛の努力か。(7月号から9月号まで)
未来に現れる自助努力の成果(10月号から12月号まで)
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(2008年1月号から3月号まで掲載)
「個人でできる」自助努力。

年金は“世相”と言ってしまうにはあまりにも重大な問題です。

 「今年の漢字」……これは日本漢字能力検定協会が毎年暮れに公募している恒例のものです。2007年は「偽」が第1位。この文字を書く京都・清水寺貫主の姿がテレビで何度も放映されました。食品や建築構造などの偽装、“消えた年金”の解決の作業が大幅に遅れていることが明らかになったりした世相を敏感に反映したものですが、2006年の「命」、2005年の「愛」に比べてうすら寒い思いを抱かれた方々も多いようです。“消えた年金”は2007年流行語大賞にもノミネートされてしまいました。国民にとって極めて重大な社会保障制度が、世相を表す漢字や流行語の対象になってしまうこと自体、とても残念なことです。2008年はこのような状況がどう改善されていくのでしょうか。
 5000万件の“消えた年金”のほかにも困った話題がありました。無年金者は60歳以上で110万人、60歳未満でもやがて無年金となってしまう人は45万人いると社会保険庁が発表しました。110万人のうち73万人は任意加入・納付できる期間を加えても受給資格が得られないということです。社会保険庁は将来無年金となってしまう人を減らすため、国民年金保険料の納付率を上げる対策を進めていますが、納付実績は改善されず、無年金者は将来さらに増えそうだということです。
 相互扶助・世代間扶養の公的年金システムにおいては「信用できないから納付しない」は通らない理屈です。ひところ若者に対する年金教育を強化すべきであるという議論がありました。年金は自分のためにお金を納めるのではなく高齢者のためであり、自分が“仕送り”をした結果、やがて自分が若い世代から仕送りを受けるという日本の公的年金の理念と仕組みを、若い人たちに正しく認識してもらうための議論であったと思います。
 しかし今、大量の加入記録がずさんな扱いを受けてきたことが明らかにされ、解決の作業も遅延していること、その説明が弁解めいていることなどが不信感をますます増大させている現状を見ると、当然に制度の崇高な理念に基づいて仕事をしなければならない年金関係者全員が、果たして本当にこのことを認識し実践してきたか、そちらがまず問われるべきではないでしょうか。

国でなければできないこと、個人ができることを区分して、次善の策を講じることが大切です。

 相互扶助・世代間扶養の公的年金システムが少子・超高齢社会、経済状況などを背景に難しい状況になっていることは、前記のことがらとは次元が異なります。しかし現在はそれらが複合しごちゃまぜになって語られ、事態を一層分かりにくくし悪化させる原因となっています。これらは冷静に区分して、国でなければできないこと、個人ができることなどを整理しながら、次善の策を考えていかなければなりません。現実の問題として、少子・超高齢社会が改善されない今、相互扶助・世代間扶養の公的年金システムは困難な状況にあります。それを手当てできるのは自助努力・積立方式の制度、即ち国民年金基金のような「個人でできる」システムです。高齢者になって無年金とはならなかったが厳しい収入……という事態に至らないために、準備ができるときに対策を講じることはとても大切なことです。

■第7回司法書士国民年金基金代議員選挙結果(平成19年12月7日公示 平成19年12月21日当選確定)
司法書士国民年金基金代議員当選人 (任期 自平成20年4月1日 至平成22年3月31日)
小寺信一(北海道B推薦)関根信(東北B推薦)安沢吉昭(関東B推薦)鷲見博信(中部B推薦)家高健志(近畿B推薦)
秀岡康則(中国B推薦)池田誠治(四国B推薦) 中嶋安雄(九州B推薦)鯨井康夫(日司連推薦)和田正敏(日司連推薦)
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(2008年4月号から6月号まで掲載)
次の世代にどんな地球を引き継ぎますか。

「相互扶助」や「世代間扶養」が悲鳴をあげているようです。

 すでに始まっている「日本の人口減少」が、意外なところに影を落としているようです。戦後の高度経済成長期やバブル経済の時期と同じように、地方から都市への人口流出が続いています。しかし現在の傾向は、経済活動が活発だった前の二者と異なり、地方経済が低迷していることに大きな要因があるようで、それが地方社会の高齢化を加速させる、というのです。
 このコーナーでは、経済の問題は状況の好転によって短期的に解決する可能性もあるが、少子高齢化は解消されるまでに相当な時間がかかる、と何度も繰り返し訴えてきました。しかし、長寿・高齢化が進む一方で少子化には歯止めがかかりません。経済状況も不透明な未来予想も出産意欲に悪影響を及ぼしているようです。研究者の中には、日本の人口はさらに減り続けるが適正規模で下げ止まりやがて人口は安定する、という説を述べる人もいますが、安定に至るのがいつのことなのかは不明です。50年後や100年後の話では、私たちにとってあまりにも現実味がありません。
 社会保障システムの重要な鍵であった相互扶助や世代間扶養は、とても残念なことながら、このような状況の下で悲鳴をあげているように思えます。

自分を守ることが、次の世代を守ることにつながっていきます。

 しかし成熟し秩序を持った社会では、人々が最低限の生活はできるようにするため、相互に扶助しあう仕組みは不可欠です。ただしその規模は状況によって縮小されていくことも避けられないことで、今はそのような切迫した状況にあると言えるのでしょう。
 現在は、最低限度の相互扶助に自助努力をプラスすることで、自らを守ることが求められているのです。そのことが、数が減少していくことでさらに過大な負担を背負ってしまう次の世代を、私たちが守ることになります。そうすれば、次の世代はその次の世代を育んでいくことができます。
 国民年金基金は、「賦課方式の国民年金を土台にした、積立方式の2階部分」という仕組みで、相互扶助か自助努力かという択一式のものではなく、どちらか一方の方式だけのものに比べ、それぞれを補完しあう優れたシステムとして作られています。
 また、金融商品として見るならば、現在の低金利時代でも年間利回りは1.75%(固定利回り)で、主な預貯金の10倍、主な個人年金の2倍近くの利率を保っています。
 最も大きなメリットは、終身=一生涯の受給ですから、実際に受給者となられたときにその意味の重さを実感し、次の世代に負担をかけないという意味を理解していただけると思います。

一人ひとりは小さな個人でも、大勢が力を出し合えば……

 未来の不透明感は今や地球全体を覆っているように見えます。地球温暖化はエネルギー問題や食糧問題とも複雑に絡み合い、グローバル経済のつまずきは瞬時に全世界を動揺させます。でも、人類の叡智を信じるならば、希望が持てる地球を必ず次の世代に引き継いでいけるはずです。
 厳しい状況をどう工夫しながら乗り切っていくのか、一人ひとりは小さな個人でも、大勢が力を出し合えばどこかに打開策を見出せます。個人ができる、次の世代を守るための手段の一つとして、国民年金基金の活用をぜひとも考えていただきたいと願っています。

★司法書士国民年金基金の新役員   任期:平成20年4月24日〜平成22年4月23日
理事長 小寺 信一 (代議員・札幌司法書士会)
常務理事 佐々木一郎 (学識経験理事)
理  事 安沢 吉昭 (代議員・東京司法書士会)
理  事 池田 誠治 (代議員・愛媛県司法書士会)
理  事 鯨井 康夫 (代議員・神奈川県司法書士会)
理  事 細田 長司 (学識経験理事・高知司法書士会)
監  事 秀岡 康則 (代議員・岡山県司法書士会)
監  事 鈴木 雅博 (学識経験監事・税理士)
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2008年7月号から9月号まで掲載)
 自助努力か、自衛の努力か。

「出生率が上昇」……子供の数は減り続けているけれど、希望の種になってくれたら……。

 「出生率が2年連続で上昇」というニュースにちょっと期待しながら調べてみると、「2007年の合計特殊出生率は1.34。2006年に比べて0.02ポイント増」というものでした。それでも低下を続けていくよりは良いと希望を持ちましたが、率を算出する基礎となる15歳〜49歳の女性の人口が減っているため、生まれた子供の数は前年に比べて約3000人減少していました。
 少子化に歯止めがかるには程遠い“2年連続の上昇”ではありましたが、これが好転のきっかけ、希望の種になってくれればうれしいと思います。
 しかし残念ながらそれはほんの小さなニュースでした。連日報じられるのは後期高齢者医療制度、なかなか進捗を見せない消えた年金問題、消費税増税論議、格差と貧困など……。国内・世界経済の難しい状況や日本の人口構成等を背景に議論は沸騰し、さらには原油高、食料の高騰、エネルギー問題に地球温暖化等々が、重苦しい話題となっています。
 社会保障については5年間で1兆1千億円削減するという“骨太の方針”によって、毎年2200億円の社会保障費が削減されていますが、これは少子高齢問題だけではなく障害者、生活支援、医療や労働等を含めた社会保障全般に及んでいます。少子高齢問題では、現在の高齢者たちに負担がかかるばかりか、これからしばらくの間増え続ける高齢者予備軍、そしてその影響を受ける次の世代に、さらに大きな“マイナスの積立”がのしかかってくることになりそうです。

老「前」から、自分や家族の老後を守る自衛策に着手を。

 これまでは「当面の苦しい状況を自助努力で補う」と記してきましたが、残念ながら現在の状況は「自助努力を超えて、老後のための自衛を」、と言わざるを得ないのかも知れません。現役世代にはなかなか想像しにくいものですが、年金受給世代がこれから負担していかなければならないものとして、所得税、各種保険税や消費税その他の負担を積算してみると、予想以上に大きなものになってしまいそうです。
 それでも、現在では多くの人々が年金の意義や必要性を理解され、司法書士年金も徐々に成長してきました。豊かな老後のための自助努力か、厳しい将来のための自衛策かは別としても、生涯受給できる国民年金基金が一つの支えとして機能できることは、とても重要なことです。
 ここでもうひとつ考えてみたいことがあります。配偶者やご家族の将来についてです。自分が存命中はそれなりの金額が得られるように設計しても、その後の収入はどうかということを考えると、もっと早くから手当てしておくべきであったと悔やまれるケースが、実際にあります。
 配偶者やご家族の方が加入されている公的年金の種類や加入期間の違いなどにもよりますが、配偶者の方の老後の収入をざっと推計し、自分の存命中の収入と大きな落差が生じる可能性があるならば、できるだけ早いうちに手当てされることをお勧めします。もし配偶者やご家族の方が司法書士職務の従事者であるならば司法書士年金に加入することができますし、そうではなくても、地域型の国民年金基金に加入することができる場合があります。
 現在私たちが迎えつつある長寿・高齢・少子社会は、他の様々な状況も交えて、これまで経験したことのない社会の到来であると言えます。もし自衛策や予防策を講じる心積もりがあるなら、それに着手するのは少しでも早いほうが良いと思います。国民年金基金制度がその一助になれるなら、ぜひ活用していただきたいと願っています。
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(2008年10月号から12月号まで掲載)
未来に現れる自助努力の成果

2008年8月、加入員が6,000人を突破しました。

 司法書士年金設立17年、累積加入員が6,000人を突破しました。すでに受給が始まっている方も多く、また新規加入者には次第に若年の方が増えてきました。設立の当時はまだ豊かな社会が保たれていて、年金に関する関心、高齢化社会、長い老後というイメージが人々の間になかなか根付きませんでした。それでも、理想的な国家像としてあるべき社会保障制度、急速に進む少子化や長寿社会の未来予測、そこから想定できる大きな影響等について地道に説明し繰り返し訴えてきたことが、今日の司法書士年金の姿となっているのだと思うと、感慨もひとしおです。
 ところが一方においては、記録の不備による“消えた年金”をめぐって社会保険庁から皆さんのお手元に「ねんきん特別便」が順次届けられているさ中に、厚生年金の標準報酬月額が改ざんされていたことが明らかにされ、再度深刻な不信感をもたらそうとしています。相互扶助による社会保障の理念に基づく日本の公的年金を、公正と公平を守るべき者が自ら破壊するような行為の責任は重大です。公的年金制度に携わる者すべてが襟を正さなければならないと思います。
 異常な天候に見舞われた今年の夏は、アメリカ発の金融不安に端を発する原油や穀物市場の世界的高騰、それに伴う物価高や生産活動への悪影響、追い討ちをかけるような新たな金融不安発生の夏でもありました。さらに見逃してはならないことは、日本の食料自給率が40%を割り込んだこと、非正規雇用労働者の割合が3分の1に達していることなど……。明るい見通しを立てたくてもできない状況が続きます。これまでに何度も「高齢化に見合う少子化の改善は長い時間がかかるが、経済状況は短期間で好転する可能性もある」と述べ、情緒的な年金不安に陥らないで欲しいと訴えてきました。しかしこのような不安定な状況が続き格差は拡大し、負担のみがじわじわと増えていきそうな現在、自助努力の意義を再検証すべきであることを改めてひしひしと感じるのです。

今の“自助努力”は、高齢になった自分にとって大きな支えとなるはずです。

 後期高齢者医療制度は、様々な議論の下ですでに見直しの声も出てきました。しかしどのように見直されても現実に高齢者層は増え続け若者は減り続け、負担が減ることは極めて難しいでしょう。やがて自分たちも高齢者の仲間に加わっていきます。医療費ばかりでなく税やその他の様々な負担が高齢になった自分に課されていくことを思うと、不安になります。
 しかし今やれることを行えば……基本の加入でも65歳から一生涯、月額3万円、年額で36万円を受給することができるのは、今の“自助努力”が未来に見せてくれる成果です。
典型的な自助努力である国民年金基金に仮に35歳ちょうどで加入した場合、必須加入の1口目の保険料は月額1万6680円。これを60歳まで払い続けると、65歳から月額3万円を生涯受給します。老齢基礎年金(満額の場合)と合わせて年間約115万円を受給することができます。2口目以降は、収入等の変化に合わせて増口したり減口したりすることが可能なシステムなので、そのときの状況で行える自助努力の程度を自由に調整できます。
 現在、基金の財政再計算が行われていますが、予定死亡率や運用実績等の変化により、2009年度から加入できる型の改訂や掛金額が変わること等が予想されます。これについては議論の推移を見ながらお知らせしていきたいと思いますが、少なくとも変更前に加入された方がよりベターであろうと推測されます。いずれにしても加入は早ければ早いほど、若ければ若いほど掛金対受給額のメリットも大きくなりますので、早速ご相談いただきたいと思います。
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