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できるうちに行うのが「自助努力」です。(1月号から3月号まで)
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「自助努力」は私たちのため。次の世代のため。(4月号から6月号まで)
ご自身の年金状況を確かめてください。(7月号から9月号まで)
できる範囲の自助努力で難局を乗り越えて。(10月号から12月号まで)
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(2007年1月号から3月号まで掲載)
できるうちに行うのが「自助努力」です。

現在の日本社会は大きな転換点を迎えているようです。

大きな社会問題となっていた"フリーター"や"ニート"に加え、"ワーキング・プア"がクローズアップされるようになってきました。格差社会が急速に進んでいることを示しているのでしょうか。成熟した社会においては、社会保障・医療保障等も十分なものとなっているはずなのですが、障害者福祉も含めて、現在の日本社会は大きな転換点を迎えているようです。
マスコミではワーキング・プアに関して、ときどき「自助努力」の言葉を用いていますが、ほとんど報われない努力を指してこのような言葉の使い方をするのは、好ましくありません。できるときに努力し、実現するものでなければ、"自助"とは呼べないのではないでしょうか。
目に見える解決策がほとんど示されていない格差社会の進行が、すでにかなり厳しい状況に至っている少子化を、ますます後押ししてしまうのではないかという不安にもかられます。
2007年問題、すなわち本年の大きな問題、団塊の世代の大量退職が始まることによる影響は、多大なものであろうと推測されます。すでに消費市場は年金受給者をターゲットにシフトし始め、ニュー・ビジネスも散見されます。しかしそれは、介護保険制度が及ぼした市場の変化と同様に、市場の一時的な地殻変動に過ぎないのでしょう。それよりもっと構造的な問題において、年金財源や労働市場の弱体化以外にも、想定外の事態が徐々に現れてくるように思えてなりません。

「自助努力」は、できるときに行うものです。

本来の意味の「自助努力」によって、国民年金基金制度は基礎年金=国民年金のみの方々にも、被用者年金受給者の人々と同じような年金受給を実現するためのものです。できるうちに財源を積み立てて運用する、それを生涯にわたって受給するというメリットのうえに、そのときの状況に応じて増口・減口ができる、ライフ・プランに合わせて設計を変更できる、という高い自由度があります。掛金を支払っているときも受給が始まってからも、公的年金としての税控除のメリットもあります。
近年はかなり若い世代、特に30代の司法書士年金加入者が増えています。かつてはあまり考えられなかった20代の加入者もあります。年金意識の浸透と合わせて"適切・迅速な判断"が急増してきたのであろうかと考え、とても感慨深いものがあります。

国家試験実施から28年……50歳にもうすぐ手が届こうとしています。

昭和31年から実施された「全国統一司法書士試験」により、司法書士の給原はそれまでの裁判所や法務局のOBを主流にしていたものから、より広範な社会からの参入を可能にしました。しかしまだ"開業認可制"であったため、新認可者の年齢層は相当高く、若い人々が司法書士界に参入してくるのは昭和53年司法書士法改正(1978)以後のことになります。かつては恩給制度や、公務員共済組合、厚生年金などに数年〜数十年の履歴をもつ人々が多くいました。しかしこの28年間に、そのような被用者年金歴が比較的短いか、あるいは全くもたない司法書士、すなわち「国民年金の期間が大半の司法書士」が次第に増加してきています。
第1回国家試験当時の最も若い方でも、50歳にもうすぐ手が届こうとしています。「生涯現役」という言葉もかつてほどは語られなくなってきました。光陰矢のごとし……できることはできるうちに、為すべきことは為すべきときに実行されることをお勧めします。いつでもご相談をお待ちしています。
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(2007年4月号から6月号まで掲載)
「自助努力」は私たちのため。次の世代のため。

 明るい兆しが見えた? 出生数が増加。

厚生労働省は、2006年に国内で生まれた子どもの数は、外国人も含め112万2278人(2005年より約3万2000人増)であると、人口動態統計速報で発表しました。合計特殊出生率は1.3を上回る見通しとなり、過去最低の1.26を記録した2005年からわずかながら回復することになりました。
これを少子化の進行に歯止めがかかったと見るのは早計だと思いますが、少なくともこの数年は下がる一方であった出生率に「上がる・回復する」可能性があったことを、多くの人々に感じさせたのは間違いないでしょう。
この要因を厚生労働省は、雇用の回復により「若い世代の生活が安定しつつあることが、結婚や出産の増加に影響を与えている」としていますが、 "フリーター"や"ニート"、"ワーキング・プア"の課題が改善される方向に進んでいるとはなかなか思えませんし、今年から始まった団塊の世代の大量退職の影響も、現実はまだ見えてきません。それでも、明るい方向へ向かう兆しを少しでも感じられるのだとしたら、それを確実に実感できるよう、みんなで努力を続けていきたいと思います。

 先人たちの努力は、福利厚生共済制度から国民年金基金へ。

日本司法書士会連合会が福利厚生共済制度を誕生させたのは、1972年(昭47)4月、今から35年前のことでした。戦後の復興から高度経済成長期へ、豊かな社会へと変化を続けていく日本社会の中で、司法書士界の先人たちが考えたのは、互いに助け合うことの重要性でした。時期を同じくして各地の司法書士会でも、年金型グループ保険の導入や協同組合の設立が進みました。これは自由職能集団がより近代的なシステムへと成長する、ひとつの大きなエポックであったと思います。
1991年(平3)8月、日本司法書士会連合会を設立母体として、約3000名の加入員をもって司法書士国民年金基金が誕生しました。基金は司法書士の福利厚生制度充実の一環として位置づけられ、豊かな老後のために互いに助け合う精神が重要なものであると考えられました。社会全体が活力に満ちていた時代であったからでしょう。

 私たちの自助努力は、次の世代のためでもあります。

しかしバブル経済崩壊以降、経済の低迷に加えて少子・高齢社会が急速に進み、年金やその他の社会保障の問題について、「相互扶助・世代間扶養」は非現実的であるというような意見が、マスコミにも関係者にも多く見られるようになりました。それでも司法書士年金は一貫して、互いに助け合うのは成熟した社会の理想的な姿である、しかしそれが現在から近未来にわたって維持できないなら、再び回復するまで自助努力で乗り切っていこう……と訴えてきました。この姿勢はこれからも変わらないでしょう。多くの人々が今できる自助努力によって安定した老後をおくれるならば、次の世代に重い現実を抱えた社会を継がせないことも、実現できるでしょう。
幸い、司法書士年金の加入者は若い世代を中心に堅実に増加し、年金の重要性を訴えてきた成果が徐々に現れてきたのでは、とも自負しています。2004年には累積加入員数は5000名を超え、現在は次の目標である6500名に向かって努力しています。
まだ加入されていない方々も、冒頭のような明るい兆しを感じたなら、自分のためであり、次の世代のためでもある「自助努力」を、司法書士年金で始めていただきたいと思います。
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2007年7月号から9月号まで掲載)
 ご自身の年金状況を確かめてください。

 年金記録問題は大変重い事態。でも前向きな年金論議を続けていただきたいと思います。

年金記録問題は、多くの人々に強い衝撃を与えています。国民年金基金にとっても「土台部分」の根本的な問題であり、大変重い事態であると受け止めています。
 原因の究明や解決は、今後国において進められることですが、個人にとっては、年金記録をご自分で確かめておくこと---このコーナーや以前の広報記事でも、何年にもわたって繰り返しお知らせしお勧めしてきました---が、極めて重要です。社会保険事務所の混雑はまだ当分続くと思われますが、タイミングを見計らって、ぜひご自身の年金状況=加入履歴、納付状況を確かめておかれることを、再び強くお勧めします。
ようやく人々の年金意識も醸成されてきた今日、年金への情緒的な不信感が広がらないように祈るばかりです。年金制度は、超高齢化が進む日本社会にとって極めて重要なシステムです。皆様におかれても前向きな論議を続けていただきたいと念願しています。

インターネットで照会する方法もあります。

 ご自身の年金状況を確認する方法がもうひとつあります。インターネットを利用されているなら、「http://www.sia.jp/」=社会保険庁のサイトにアクセスし、「年金加入記録照会」のページから、自分の現在の状況を照会・確認することができます。
 ただしこの方法では、IDパスワード等の付与や、照会事項は後日郵送されるなど、かなり時間がかかるようですし、照会の項目によっては電子認証も必要になるので、これを利用するか、年金手帳(証書)を持って直に社会保険事務所に調べに行くかは、個々の判断であろうと思います。

自分の年金額が見えてくる? 将来設計のために一度お試しください。

 実はこのページには、もうひとつ興味深いツールがあります。『年金加入記録を自分で設定できる年金額簡易試算(シミュレーション)』です。生年月日等のほか、国民年金の加入期間、免除期間、厚生年金などの項目に数字を記入すると、60歳から、65歳からの推計の年金額が表示されます。
 よくわからないのはサラリーマン時代の平均給与額で……年金の計算に必要な「標準報酬月額」を推計するものなのですが……だいたいの参考額も示されているので、とりあえずその前後を入力したり、行ったりきたりしながら給与額を適宜増減させて計算することができます。
 60〜65歳は厚生年金等の報酬比例部分(年齢によっては定額部分)がある場合の受給額、65歳からは基礎年金に厚生年金等の上乗せ部分が加わった額が表示されるのですが、サラリーマン時代の平均給与額が高くても、加入期間が短いと、自分が想像していた金額より遥かに低くて驚くこともあります。
 もちろんこれは「推計」ですから実際の額とは異なりますが、このように具体的な数字で示されると、自分の老後がかなりリアルに見えてきます。20代、30代の若い世代でも、年金受給の要件である25年加入期間を達成するという推定のもとに入力すると、ちゃんと数字が表示されます。
 この数字で十分と考えるかどうかは一人ひとり異なりますが、さてどうしたら良いかとお考えになるとき、つまり、国民年金基金でいくら増額したらよいのか(基本の1口目では、年額36万円です)……などを考えるには、「ぜひお勧め」のツールです。
 今は国民年金基金に関心がない方でも、一度お試しいただくとよいかも知れません。
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(2007年10月号から12月号まで掲載)
できる範囲の自助努力で難局を乗り越えて。

 社会を揺るがす年金の諸問題を冷静に読み解いていただきたいと思います。

 年金記録の不備に始まる様々な問題は大きな衝撃で社会を揺るがし、各種報道にも改めて年金不信の論調が多くなっています。ただ今回の傾向は、これまでの情緒的な報じ方に比べやや分析的なものが増えているように見え、それゆえに情報を注意して読み解く必要があるように思います。
 気をつけていただきたいと思うのは、公的年金制度の一元化と基礎年金、被用者年金の官民格差、超少子高齢社会の進行など年金制度そのものに関する問題と、保険料の徴収、記録、給付、問題発見と処置・処分などのシステムの問題、そして保険料の着服、横領、隠蔽などの犯罪の問題を、区分けして読み解くことです。これらは無段階に重なっていて明確な分離ができないことも多いのですが、それでも本質的な部分では少しずつ違っていることにお気づきだと思います。
 テレビなどでは「ずさんな年金制度」という単純なイメージに括って語られ、視聴者もそのように受け止めてしまいがちですが、10年ほど前なら「どうせ年金なんかもらえないんだから…」という反応であったのに、今では「それでも年金は必要!」という人々の声も聞こえて、悲痛なものさえ感じます。それだけに、「制度のここが疑問」「システム、機構、運営のここが不備、ここがずさん」「法の支配の下に不正を許さない」という冷静な分析眼を持ち、彼の無謬の原則がいかにものの道理を混乱させているかを詳らかにし、世の中に蔓延しつつあるモラルハザードの風潮に警鐘を鳴らしていくことが、今、オピニオン・リーダーの方々に期待されていることではないかと思います。

社会保障は最低限のセーフティネットです。

 国民年金基金は「自助努力・積立方式」の年金ですが、あくまで基礎年金の上に組み立てるもので、土台がなければ存在しません。土台部分は国民皆年金制度ですが、現実にはご承知のとおり未納・未加入の問題が残っており、改善が急がれます。
 現在、高齢者や障害者への処遇が次々と市場化されていますが、社会保障が最低限のセーフティネットとして機能しなければ、成熟した社会とは言えないだけでなく、社会不安や混乱を招くことになるでしょう。アメリカ合衆国の大統領選挙で医療に関する国民皆保険が大きなテーマの一つになっていることも、象徴的なことがらであると思います。
 すでに被用者年金の受給開始繰り下げなどによって年金給付の削減が実施されています。超少子高齢社会の進行は予断を許さず、まだまだ厳しい選択肢が待ち受けているようです。しかし、最低限の社会保障を維持する方策を探りながら、当分の間、おのおのができる範囲の自助努力を続けることで難局を乗り越え、日本社会の将来を守っていきたい、守っていただきたい、と思います。


◆ 司法書士国民年金基金 理事長の交代と代議員の選出について(お知らせ)
1. 理事長の選出
 細田長司の理事長辞任に伴い、7月28日に行われた第70回理事会において、小寺信一(札幌司法書士会)が司法書士国民年金基金理事長に互選されました。
2. 代議員補欠選挙
 高木保男の代議員退任に伴い、9月21日に行われた第38回代議員会の補欠選挙において、秀岡康則(中国ブロック推薦・岡山県司法書士会)が当選し、司法書士国民年金基金代議員になりました。
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