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公的年金の状況は日本社会を映す鏡

長寿の国の光と影
 不老長寿は、はるかな昔から人間の夢でした。そして現在の日本は世界でも有数の長寿国。しかしこの喜ばしい現象とともに、高齢者の福祉、介護の問題等が次第に大きくなっています。また一方では、生まれてくる子供たちは急速に少なくなっています。高齢社会は単に高齢者の増加だけではなく、新しい世代の数とのバランスで考えなければなりません。「少子高齢社会」という言葉が使われているのは、このためです。
 長寿という光は、世代のバランスがとれた一定程度豊かな社会では、暖かいやわらかな光を放ち、影は薄くなっていくものですが、残念ながら今の日本では影のほうが濃さを増しています。その影の要素の一つに年金問題があります。ご承知のとおり、国民年金をはじめとする公的年金のほとんどは、若い世代の負担で高齢者を支える制度ですから、世代構成のバランスが崩れはじめた今、年金制度の未来が心配され盛んに議論されるのです。
冷静な状況分析が必要
 年金に関する報道は悲観的なものが多く、人々の間に少しずつ不安感が広がっているようです。その不安感の中には、かなり情緒的な反応もあるようです。現状を冷静に分析し、何が問題となっていて何が解決できるのかを、みんなで前向きに考える必要があります。
 現在、多くの先進諸国が少子高齢化に悩んでいます。これによって問題が大きくなっているのは、相互扶助・世代間扶養の社会保障で、その代表的な例が賦課方式の年金制度です。わが国の国民年金も、その上乗せ制度であるサラリーマンの厚生年金も、賦課方式ですから、数十年先までの世代構成を推定して、将来の若者世代に過重な負担をさせないための検討を急いでいるのです。さらに厚生年金のような被用者年金は経済状況が直接影響するため、より課題が多いと言えるでしょう。もちろんそれらの課題も、経済状況が好転すればいくつかは解決されますが、少子高齢化を短期間に解消するのはむずかしく、当分の間は少子高齢社会が続くものと考えなければなりません。そのため最近大きくクローズアップされてきたのが、自分の将来の年金を現役のうちから設計する「自助努力方式」の公的年金です。
少子高齢社会に対応する国民年金基金
 国民年金基金は、世代間のアンバランスの影響をほとんど受けないため、多くの先進諸国の年金制度は、国民年金基金のような自助努力・積立方式にウエートを移しつつあります。掛金は国際的な視野で堅実に運用され、将来の給付のために積み立てられています。
 相互扶助・世代間扶養という考え方は、社会保障の基本的な理念ですが、現状を直視しできる限りの改善策を講じながら、相互扶助と自助努力をバランスよく組み合わせていくことが、今もっとも大切なことだと言えます。
  日本の公的年金制度は、第2次世界大戦でも破綻しませんでした。公的年金には未来がないと考えるのは、日本には未来がないと考えることと同じではないでしょうか。自分が高齢者になったときの日本社会の姿が、公的年金制度という鏡に映し出されています。

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